しいねはるかさんソロ音源のこと


GORO GOLOやジャポニカソングサンバンチで(ex.MAHOΩでも!)スウィンギンな鍵盤を響かせるはるかさん、こと、しいねはるかさんのソロ作品がとてもよいのです。わたしはピアノの高いオクターブのキンとした音が苦手で、どちらかというとあれは神経を逆なでる音色だよなぁと思ってるぐらいなんですが、もちろん普段のライブハウスとかアレンジのなかで聴くにはぜんぜん好きなんですけど、ピアノソロでずっと聴いていられるのは数えるぐらいしかない。単に録音の問題のような気もしますが、はるかさんのピアノはその、カドみたいなものが削ぎ落とされていて、寝る前でも聴いていられるのです。そして仕事とか人間関係とか、すぐにイライラしがちな自分が、はるかさんのピアノに触れると、ふっ、と、そういう毛羽立ちがぜんぶなくなってしまう。本当に綺麗に気持ちが軽くなるんだよな〜 「なんであんなイライラしてたんだろ?」って。精神分析みたいな、そういうところではるかさんの音楽を語りたくはないけど、はるかさんの音楽にはリアルにめちゃくちゃ助けられています。なんだろうな、とても自由なんだよな、音が。リズムやコード進行、テンポ、音楽論理から解き放たれて、 はるかさんのリズムで音符で心地よさで音が紡がれている感じがして。あれは譜面かいてるのかな〜?テンポは曲中でぶれていくし、リズムも4拍から3拍、2拍などへと揺らいでいく。一度唄った旋律はすこしずつうつろって、二度と戻ってこない。とどまらず少しずつ変化して、一瞬や、めぐりゆく時間を捉える、運動する音楽。豊かに色づきながら自由に羽ばたいて表情を変えていく、そのさまが尊く美しいのです。以前も書きましたが、曲中ではるかさんの呼吸が不定期にずっと、そぉっと、なまなましく聴こえているのもいい。まるで生命の息吹を聴いているような、世界の呼吸を聴いているかのような、この世で生きるあらゆるものの存在をそばに感じている気持ちになります。し、揺れるリズムのなかに新たなリズムが発生して、音のなかで迷い子になることができるのです。はるかさんが名付けた1曲1曲のタイトルもとっても素敵で、言葉を置いた途端にイメージがわき出てくるのですが、一度その言葉すらとっぱらって、自分の想像力に委ねてピアノの森に迷い込むのも、とっても豊潤なひとときです。




丁寧に折られたお花の花びらを開いていくと、中には手書きで記した曲名がつつまれている、というジャケットへの手間のかけ方&愛情も素敵。もともとはsound cloudでアップされていた音源、つまり無料でDLできる音源。それを、わざわざパッケージして対価と交換するに当たっての、はるかさんのおもてなしの心と、「ジャケットも含めての自分の作品である」というプライドと、その両方をびんびんに感じます。やっぱりこういう作品を手にできるうちは、CDにしても本にしても、データ化なんて絶対できないぜ!と思いますね〜。初回盤は売り切れたらしいのですが、ほしい人ははるかさんに直談判だ!