A PAGE OF PUNK vs GORO GOLOのこと

http://blog.livedoor.jp/apageofpunk12341234/archives/51942437.html
http://goro-golo.tumblr.com/post/31451576899/a-page-of-punk



いやー、これ本当におもしろいです。
当時の西荻もっと言えばワッツ周辺シーンの回想記でありながら、彼らの音楽に対する姿勢が浮き彫りになる、お互いへ綴ったラブレター。文中に出てくるFRUTYは言わずもがな、「もしも、シュガーベイブOPERATION IVYが出会い系サイトで出会ったら的なスカパンクバンド」と本人が言うYOUR SONG IS GOODのJxJxの前身バンドであり、後のシーンに影響を与え続ける偉大なバンド。STIFFEENはバリカクがユニオン時代に銀杏BOYZの安孫子くんとやってたレーベルでtheDUDOOSとかSNOTTYとか、NUTS&MILK(!)とかリリースしてた。tooniceはイルリメや昆虫キッズのMVを手掛けた大関くんが、武蔵美クルーとやってたファンジン(岩崎くんのデザイン超クール!)だし、ピントは銀杏のジャケットを描いてるミノケンさんがやってるレーベルで…と、ひとつひとつ説明していきたくなるほど懐かしくて愛おしい!バリカクは「サンライズ西荻!」て歌ってたけど、本当にこの辺のつながりというか、が、いまにつながる黎明期だったのだなぁと思います。ま、どんな道でもいまにつながるのは当たり前ですね。そんな思い出話はおいといて、しかし、A PAGE OF PUNK vs GORO GOLOのツーマンは、このなっがーーーーーーい歴史も踏まえた上で行われた対決なのであります。もともとはこんなやりとりが発端となったツーマン企画。しかし彼らはただただ2か月間ツイッター上でケンカしてただけじゃない。パンクvs音楽という、自分たちの信念をかけての、この対決だったんだろうと思います。


「遅いのはイヤだった。音楽じゃなくPUNkがやりたかった。スカコアはPUNKの1分野であって、音楽の種類の呼び名ではない、と僕は考えていた。カッティングはダンスの為にはやらなかった。抵抗の為にやった」


ツトムさん痺れるぜ!わたしはかつて、鋭利な速さで畳み掛けるスピードとテンションこそパンクのスピリッツそのものだと思ってたし、そこに別の音楽性を加えるなんてなにくそ、と思ってた。それでも、GORO GOLOはそんな戯言吹き飛ばすぐらいカッコよかったんですよね。速さのなかにソウルとジャズとファンクと、台風のようなパワーが、いてもたってもいられないほどにうごめいてた。あくまでわたしの解釈だけど、アペイジのリーダーであるツトムさんが、音楽的な技術というのか、装飾というのか、を削ぎ落として削ぎ落として、むきだしの精神力や気合いだけで音の純度を高めていくことを「パンク」と信じて鳴らし続ける姿勢には感動的に共感してしまうし、GORO GOLOのボーカルでありリーダーであり音楽前夜社を引っ張るユウさんの言う「音楽と強度、どっちも持ちたい」、「お客さんに楽しんでもらうためならピエロにもなる。それはパンクの視点から相当尖ってる」という言葉には、いまも音楽が世界中で鳴り続ける理由、を、痛感せずにいられない。



そんなわけで、とにかく、そんな歴史ある2バンドの対決。相当ピリピリしてるんだろうなぁ…とか思いながら会場のスタジオへ到着すると「こっちだよ〜」とか言われ、お金を払いながら「どっちのバンドをみに来ましたか?」と聞かれる。うーん、と、考えて「GORO GOLOです」と答えると向こうで「やったー」て声が聞こえてうまい棒のコンポタ味がもらえた(笑)。そして手の甲に「×」を書かれて(かっこいい!)中へ入ろうとすると「いまは前座で超地下アイドルが歌ってますんで」とか言われる。入ってみるとぺいぺいちゃんが歌って踊ってるさいちゅう。ツトムさんがフラフラあらわれては「よっしゃいくぞー!」とかコールをかけてる(笑)。な、なんだこの雰囲気は。ぺいぺいちゃんは忍者みたいな恰好でしおりんのハチマキして、お世辞にも歌もダンスもうまいとは言えないけど、たったひとりで戦っているような雰囲気で、一生懸命でとてもかわいかった。声とか全然出てなかったけど、伝えようとしてる気持ちだけは伝わってきました。




ぺいぺいちゃん!



ぺいぺいちゃんが終わるとざわざわし始める会場「はじまる?」「はじまる」と口々にささやかれ、ユウさんが「おーい始まるってよー!」と外にメンバーを呼びつけにいく。と、ツトムさん「なんだよ〜。“おーい始まるってよー”って(笑)。みなさん、いまのがGORO GOLOのボーカルの声ですよー。よく覚えておいてねー」などと茶化す。最初っから本当に和やかで楽しいムード。司会を務めるのは今回の発端となったMANGA SHOCKのひらっちさん。ルールは以下の通り(この特設ページからもらいました)。

Back to Backルール

(一本目)
1分を交互に3回

  • ジャッジ1-

(二本目)
10分を交互に1回
続けて5分を交互に1回

  • ジャッジ2-

☆ジャッジを2本とも取れば勝ち。

☆判定はジャッジ時の拍手の量で司会ひらっちが判断。

☆ジャッジを1本ずつ取った場合はサドンデスへ。

(サドンデス)
1曲を交互に3本

  • ジャッジ-

先攻後攻はじゃんけんで決めることに。ツトムさんはひたすら「うちの副リーダーがいく!うちの副リーダーじゃんけんめちゃ強いから!」とか言ってて、客席から「副リーダーってなんだよ!」とか突っ込まれてる(笑)。「最初はグー!」と言ったと同時に先攻でぶっこむアペイジ。すると入り口とは逆の扉が開き、扉の上部にへばりついたボーカル千秋さんが登場。パンクのアティテュードが爆発したような、性急な速さとプレッシャーで畳み掛け1曲を終えると「We are “A PAGE OF PUNK”!」と叫ぶ。続いてGORO GOLO。つんのめるビートのなかに凝縮されたふくよかな音楽性とハッピーなムード。客席からは大歓声が上がり、敵側ボスのツトムさんもいい笑顔で迎えてる。「ファッキュー!」と言いながら2曲目を演奏するアペイジに対し、「コイツらがファッキューなら俺らはファンキーやるよ!」とファンク×パンクのショートナンバーを繰り広げるGORO GOLO。1曲演奏するたびに客席も一緒にどんどん高まってって、お互いのリーダーはとても悔しそうな顔をしてる。



「では、よかった方に拍手をしてください!」
というひらっちさんに促されて、拍手。両方にするのもアリということだったので、わたしは両方に拍手してしまった。だってどっちもめちゃくちゃかっこよかったから。しかし明らかな拍手の量の違いでGORO GOLOの圧勝。手に取るように動揺しているツトムさんを尻目に2本目の試合がスタート。



「渋い曲やります。パンクとかどうでもいいんで!」とユウさんが発言し、GORO GOLOが音を鳴らす。インストナンバーでもユウさんの存在感すごい。もともとツインボーカルだったはずのGORO GOLO、ちょい前までもうひとりのボーカルを募集してたけど、ユウさんひとりでまったく問題ない。彼はそこで踊って、手を叩いたりしてるだけでも十分に音楽。顔が歌ってる。そしてアペイジの番になると「ぺいちゃんがいくって」と、ぺいぺいちゃんがステージの真ん中に飛び出す。「わたしだってアペイジです!わたしだって負けたくないんです!!!」といい、歌って踊る。…んだけど、「歌詞がゴロゴロが負ける夜〜♪」とかになってて、ちょっと閉口。闘うのであればつまらないdisじゃなくて、正々堂々と歌と踊りで挑んでほしかったです。ふたたびGORO GOLO、深夜12時以降に踊れなくなるという風営法を題材にした、と新曲を紹介し、「バンクバンドじゃないけど…」と言いながらも「これは闘いの歌だ!」と歌う。みんな本当に楽しそう。歌い終えて、ツトムさんが「まるでパンクバンドみたいじゃねぇか!」といい「今日GORO GOLOと対決できて俺は本当にうれしいです!」と叫ぶと、アペイジがスタート。フロアに飛び込んでいく千秋さん、もみくちゃになるお客さんたち。そこここでダイブも始まり、アペイジとともに客席のボルテージもフルマックス。「行動を起こしてくれ!」といい「Do reaction!」と歌うと、お客さんをはじめユウさんも一緒になって歌ってる。これぞライブ!といわんばかりの熱量でその場を呑み込むアペイジ。さすが英国ツアー帰りの貫禄!2本目の対決はアペイジの勝利。本っ当に悔しそうな顔のユウさん。いやー、手に汗握るツーマン!てかほんっと超楽しい!ライブってこんなに楽しいのか!音楽ってこんなに楽しいのか!ってぐらい、自分もずーっとエキサイトしてました。


そしてサドンデスに突入。もうまだ盛り上がるか!ってぐらいの超大盛り上がりをみせて、ついには2本目に突入しても決着がつかなかったため最終的にはじゃんけんで勝敗を決めることに。ツトムさんは「リーダーより副リーダーのほうがじゃんけん強いんだって!」と言って副リーダーを出そうとしてたけど(笑)、ここは正々堂々リーダー同士の勝負に。「パンクのパー出せよ!」とユウさんが言い、みんなに見えるように頭の上でじゃんけん。「最初はグー、じゃんけん…」ポイ!で、ツトムさんがパー、ユウさんがグー、で、A PAGE OF PUNKの勝利!!!うおー、パンクのパーで勝たせたユウさんエモい!美しい!おれちょっと泣いたよね。そのままウィニングランでアペイジが演奏し、最後には「ありがとう!本当に楽しかったです!めっちゃケンカしててやんなったけど(笑)。来年は10バンドぐらいでやります!お前らもお前らもお前らも出ろよ!俺らが優勝するから」と、ふたりが抱き合って、この2ヶ月間の闘いの幕を閉じたのでした。ほんっとーに楽しかったです。この2バンド(2人)が信念や価値観の相違に白黒つけるため戦っていたのは明らかだけど、根本的に音楽を愛してて、ものすごい魂のグルーヴをお客さんに届けようとする思いは同じだったと思うし、何よりお互いを認めているからこそできる、男と男の真剣勝負を見させてもらったという感じ。認めているから馴れ合うのではなくて、認めているから勝負を挑む、それが未来につながる、ということを教えてもらった気がします。最後にツトムさんのこのひとこと、めちゃくちゃグッときました。



「俺らはずっとパンクが好きだって言ってると思う!僕たちはずっとパンクを歌うんだ!速くなきゃパンクじゃないぜ!」



わたしはパンクは抵抗の音楽だと思ってるし、それは様式美にすがりつくものではないと思ってる。そういう意味では、ユウさんがやろうとしていることに共感するし、最初に言ったように、音楽が鳴る意味というのをそこに感じてしまう。だけど、やっぱりいつまでもパンクであることにこだわって信じて貫こうとするそのアティテュードにはたまらなく痺れてしまうんだ。だってパンクの前でわたしはいつもキッズだから。このツーマン、みれて本当によかった!ほんっとーーーーーーーーーーにたのしかったです!



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9/22 A PAGE OF PUNK vs GORO GOLOみんなの感想
http://togetter.com/li/380034