最高の離婚と横道世之介のこと

いっ!!!やー!!!! 「最高の離婚」すごかったですね!!!凄まじかったですね!!!瑛太真木よう子はほんっとうにうまいなぁ〜。真木よう子の目の演技とかゾクゾクしましたね。でも、やっぱり尾野真千子がぶっちぎりによかった。発狂すれすれの感情の高ぶりとか哀しさとか怯えとか、優しさとか、無邪気さとか、ぜんっぶ素晴らしかったです。綾野剛はもうすこしと思ったけど、あんな4人のスリル満点な応酬が見れたってだけでもじゅううぶんに満足でした。またいちいち言葉のチョイスが鋭く絶妙すぎて!はー、ほんとすばらしかったな〜。ほんとにすばらしかったな〜〜〜〜。しかし、どう収拾つけるのかと思ったらあんなにも美しい日々のくらしの肯定でわたしたちに希望を与えてくれるとわ!!!!!わたしゃあのふたり(瑛太と尾野さん)はさっさと別れて違う人と幸せになればいいって思ってたんですよずっと。愛というのは憎しみや苦しみや孤独を生むものではあるけど、憎しみや苦しみや孤独しか生まなくなったら捨てた方がいい、と自分は常日頃から思っておるので。まーこの時点で気持ちいいほど脚本に振り回されてるんですがね私くしは。でもさ、好きだから一緒にいるわけであって、好きだから一緒にいるのが苦しいというのは、相性とか身分とか因果とか輪廻とか宇宙とか、そういった自分の手の届かない神的なレベルでその愛は奨励されていないのだと、森鴎外の「雁」が脳裏をよぎるのです。「サバの味噌煮」のせいで、惹き合いながらも一生まじあうことのなかった愛のことを思わずにいられないのです。だから、あんなふうにケンカばーっかりしてて、意地ばっかり張ってて、相手のことを思いやれなくなっちゃうなら、運命の相手じゃないんじゃないかなって。一緒にいない方が精神衛生上いいんじゃないかって。きっとうまくいかないぜって。でもさーでもさーかっこ悪いキスのあとに「…ダメな夫婦だね(笑)」って、笑いあって、不器用な自分たちの、不器用な関係性を認めてあげて、不器用ながらはぐくんできたそのきずなをフラッシュバックさせていく、さまに、さすがに泣いてしまったよね。うまく伝えられなかったり、意地を張ってしまったり、思いあがってしまったり、嫉妬や焼きもちをぶつけたり、「好き」という気持ちをないがしろにして傲慢になってしまうようなこと、何度もあるし誰でもあるし結局はわれわれなぞは大した生命体じゃなくって浅はかで未熟でダメな動物だけれども、だからといって、あの日の偶然が、あの夜の会話が、かさねてきたふれあいが、歩いてきた距離が、無駄だったことなどがあろうか。日々、紡がれていく小さな営みは、例えネガティブなときでもずっとつづいていく。それは、かけがえのない、光のようなもので、それが、細胞に刻まれていく愛しさ、というものじゃないのか。なんか、不器用にもつれながら、誰かと許し合って、生きていくのだよな、私たちはな、などと思いました。とてもしあわせなことだと思います。


「時間を重ねていく」という点において「横道世之介」も、同じふうに思いました。観終わった後、むしろ見ている最中からずっと、いまこの生の瞬間が愛おしく思えて思えて。「あいつに風呂場でお前のこと話したよ〜」「えー、なにー?」「なんだったっけな〜、忘れちゃったな〜」って、見ているこっちからしたらたまらなく美しい、前田司郎さんの前田節の脚本もあいまって、忘れられないような世之介と一平の風呂場のシーンなのに、当人がその時間を記憶からとりこぼしているという脚本、そしてその瞬間すら記憶からこぼれるようなさりげない一瞬であることを示唆する演出。なんていうか、記憶からこぼれていくようなさりげない瞬間でも、美しさと喜びに満ちあふれていて、きちんと時間が積もって続いているのだなぁと、時を重ねていくふくよかなしあわせを思いましたです。どのシーンも、何回も見たくなる生命の美しさにあふれるシーンばかりでしたが、やっぱり雪の降る中でのファーストキスとそこに至る長回し



「いつの間に積もったんだろう?」「さあ〜?絵を描いているときでしょうか?」


てゆう会話が超超超超大好きです。絵なんか描いてる間に雪が積もるというロマン。つまり、何気ない時間をすごしている間にも私たちの日々は積もっていくのだ。降り積もる雪の中で足跡が広がっていく美しさは、まるで深めていく愛のようにも思えて、場面変わってスキーで足を折った祥子ちゃん(吉高由里子!超絶かわいい!!)を心配して世之介がお見舞いに行くシーン、祥子ちゃんを怪我させた雪は、さらに積もって深まった関係性をもしめしていて、「世之介」「祥子」「世之介」「祥子」と名前を呼び合うという許しに到達した。ふうに思える。



「世之介」と名前を呼ぶ祥子ちゃん!かわいい!


本当に美しく、豊かな時間が流れている映画です。その美しい、豊かな時間を、自分もいま生きているのだという事実に感謝をしたくなるような映画です。とにかく吉高由里子がくっそかわいくってあまりにハマり役なので、彼女を見るためだけでももう一度スクリーンでみたい!みたい!高良くんもほんとにかわいいみんなかわいい。そして前田司郎さんの脚本は巧すぎて思わず笑っちゃう優しさに満ちているのです。やってるうちにまだまだ見たいよ〜