「せしぼんEP」のこと!

ギャー!せしぼんEPに驚いた!


そもそもわたしくとじゅんじゅんベイビーとの出会いは赤い疑惑のライブ。毎回、毎ッ回、ライブの最前にすんげえかわいい娘がいるな〜とストーキングしてたのが最初です。その後エイジアでの赤い疑惑に行ったときかな〜?じゅんじゅんが赤い疑惑のフライヤーを配布してたんですね。なので、おもわず「か、かわいいですよね。い、いつも赤い疑惑のライブにいますよね」ってナンパしてみた。それが交流のきっかけです。銀杏BOYZのジャケットの娘だと知ったのはまたその後のことでした。そんなじゅんじゅんがMAHOΩというバンドを始めたというのでちんぐの撮影したライブ映像をみたところ、「かわいいお人形さん」というパブリックイメージのまんまで、さすが音楽前夜社のスガナミさんは、もっとも必要な場所にもっとも必要なひとを配置するものだな〜、と思っていたのでした。しかし初めてライブをみたときは正直「?」で、まぁ当時はドラマーが違ったとか、マックスちゃんが鍵盤やってたとか、まだMAHOΩが出来上がった状態でなかったというのは大いにあると思いますが、相対性理論ライクなライブ中の朗読とかフランス語のMCとかステージの小物とかに「やりすぎ」感があったのは否めない。否めない、のだけど、今にして思えばあれがじゅんじゅんのアイデンティティであり「せしぼんEP」につながる布石だったのだと今は思う。MAHOΩはじゅんじゅん&マックスというポップアイコンをフル活用して(もっといえば島田桃子さんの振付も)、最高にポップでキャッチーな曲とともに、彼らにしかできない現在進行形のポップミュージックを確立してわたしたちを大いに楽しませてくれるはず、だった。いや、大いに楽しませてもらったんだけど、まだ足りない。せめて1stアルバムをリリースしてほしかった、解散する前に。MAHOΩの「摩・訶・不・思・議ep」こそユニオンでン十万で飾られるCDになるよ!伝説だよ!ステージで踊りながら歌うじゅんじゅんはくそかわいかった。本当にお人形さんみたいだった。わたしのじゅんじゅんへのイメージはそんな感じ。お人形さんのようなかわいい、かわいい女の子。


が、「せしぼんEP」でガラッと変わりましたね、イメージが。この女は策士や!と。いや、音源はもーどっからどう切ってもかわいいじゅんじゅん印!ウィスパーボイスとポップなメロディ、洗練されたアレンジ、絶妙な引用そして完璧な世界観。ダブルノックアウトがプロデュースしたファンシーフェイスの匂いも感じさせながらスナップショットやミネコさんカヒミさんといった脈々と継がれる「渋谷系」の系譜、さらにはピチカートファイブスパンクハッピー相対性理論、とあらゆるポップミュージックを呑み込んだ現在進行形ポップス、もう太刀打ちできないほど完璧な作品なのです。で、もって、この完璧な世界観を、ぜんぶ牛耳っているのが他でもないじゅんじゅんで、「プロデューサーはひみつ」っていってるけど、音楽的なプロデューサーを立てておきながらも、実質的なプロデューサーはじゅんじゅんそのひとに他ならないのだろう、と、想像してしまうのだ。なぜなら、じゅんじゅんのキュートさや資質、才能、はもちろんだけど、彼女の経験と知識と憧れ、が、この「せしぼんEP」の、ほつれのない音楽観/世界観を作り上げているのだと思うから。


で、もって、彼女の欲望と才能を受けて、音楽家たちは、自らの創作意欲をかきたてられて、想像以上のポテンシャルを発揮してるのではなかろうか、なーんて思う。じゅんじゅんはかわいいだけのポップアイコンなどではなく、創造の泉のタフなミューズだった。これからもひとの心を巣食ってメロメロにさせてクリエイティヴィティを引っ張り出すのであろう。お人形さんだと思ってた娘が、ついに爪を出した、そんな瞬間が垣間見れる「せしぼんEP」。彼女のソロ活動が、今後どうなっていくのか本当に楽しみです。ゆくゆくはDouble K.Oを再結成させておくれ!


つーわけで「せしぼんEP」を聴いてて思い出したミューズたちの名作をチェキラしておくぜい!



カヒミカリィ「クロコダイルの涙」
恋人でありよきパートナーであった小山田圭吾とお別れした後の最初の音源であり初のアルバム。プロデューサーにモーマス小西康晴氏など。それまでも、小山田圭吾をプロデューサーとして立てておきながら、自身のはんぱない知識や欲望がかなり幅を利かせていたと思われし彼女の作品群ですが、この作品で「お人形でいることにはもううんざり」「新しいシャツに着替えて私は私の人生を生きるの」と、プロデューサーたちに「書かせて」いるたくましさ。当時の音楽雑誌とか容赦なく小山田氏との関係性について突っ込んでて「音楽雑誌でこんな記事が成立するのか!!!」と思ったもんでした。まじでびっくりしたよな〜。



嶺川貴子「roomic cube」
ファンシーフェイスグルーヴィーネームでカヒミさんとともにdouble K.Oにプロデュースされたミューズ。レコード会社の差し金でL⇔Rに加入するなど迷走期もあった(さよならタイムズスクエア!)彼女が満を持してリリースした1st(カバーアルバムが1st?)。プロデュースはバッファロードーター。こんっなにかわゆい女の子が強面のバンドをバックにしたがえて好き勝手自由に音を出している様に、当時学生だった自分はひっくり返ったものです。しかも、マッチョすぎず、乙女すぎず、ナチュラルにポップかつストレンジな完璧なさじ加減で、女性の音楽作品を聴く際の指標になっています、私の。アティテュード的な意味で。



市井由里「JOYHOLIC」
EAST END×YURIの方が有名ですがプロデューサーがASA-CHANG朝本浩文ヒックスヴィルさらに歌詞提供に小泉今日子かせきさいだぁ菊地成孔、コーラスにハラミドリとゆー(スパンクハッピー!)豪華な布陣!「DA・YO・NE〜!」とかゆってたひとがどうした!とか思いましたが市井由里さん自身がそっちに傾倒していたそうで、当時の音楽雑誌に「スチャと一緒に小沢くんのライブに来てて、(EAST ENDは)いいの?って思った」みたいなことが書いてあって「すっげー!市井由里パンクやー!」てわくわくしたものでした。かせきさんが「由里ちゃんは舌ったらずで【な行】の発音がかわいいから【な】行を多めにした」て書いてましたね。かせき×小暮の名タッグを生んだきっかけの作品でもあります。当たり前だけどいい曲揃いなんだよな〜。



ユカリ・フレッシュ「ユカリ・フレッシュ」
スナップショット〜ユカリフレッシュの流れってあまりに情報がなさすぎて、あんなにあしげくHMV〜zest〜maximum joy(!)なんかに通っていたはずの自分でもよく知らないんですが、スナップショットがいつの間にか解散して、高崎ゆかりさんのソロユニットとしてリリースされた作品。しかし実質メンバーは同じ。ハッピーでチャーミングでフールなダンスミュージックことHCFDM(なつい!!)の代表格といっていい、「ねこにゃんじゅんじゅん」が好きなひとは絶対好きだと言える。しかしこんな単語もう誰も使わないよな〜。小西さんが好意的に使い始めた「HCFDM」が廃れて、ロッキングオンが皮肉で使い始めた「渋谷系」 がいまも根強く残ってるっていうことは、ネガティブな噂の方が強いのだという証明にも思えますね。まー当時「渋谷系」だったひとたちは、太田さん(店員)の7インチ(髪の毛付)の呪縛にいまも縛られたままなのですからね(意味不明)。