HAPPLEのことと「ポップトライアングルSTEP2」に行ったこと!

HAPPLEに夢中です。土曜日のグッドマンでのライブも本当に素晴らしかった!1曲目から言葉の跳ね方がすごくて、音源も大好きだけど、彼らのライブでの、音の生きてる感じは本当にすごい。音が立ち上がってウキウキと生命を帯びる。ほんとに彼らが演奏すると、音がウキウキし出すんですよ。生きてるみたいに。まぁ音楽が鳴ってる瞬間は音は生きてるんだろうけど、でもなんつうか、活造りの魚が、身体切られててもビチビチ動くみたいな。なんだその例え。でも本当に音がビチビチ生きてるんですよね〜。とにかく演奏してて楽しそうだし、なにしろ演奏がすごい上手だし、ラップもうまいし、土岐さん「アリーナー!」とか言ってふざけてたけど、彼らはほんとにスターだよ!9月5日(木)440でワンマンやりますからね〜。これは絶対に行きたい!行くべきだ!と断定してしまおう!


て、な、わ、け、で、「ポップトライアングルSTEP2」に行ったときの話。「ポップトライアングルSTEP2」とは円盤のシリーズ企画で、

明日の「ナイアガラ・トライアングル」を目指して、ポップ・ソングライターとして円盤が注目し続けている三人を隔月でシリーズ対バン。一年計6回のイベントを通してアルバムを作って行こうと思っています。この三人なりの「A面で恋をして」ができたらいいな(笑)


という趣旨のイベントのようです。出演者はアルカイック・スマイル・トーキョー、アンニュイ・ギャルソンズのたけヒーローさん、ミックスナッツハウスの林漁太さん、そしてHAPPLEの土岐佳裕さん。お目当てはもちろん、我らが土岐さんです!キャー!(36歳の黄色い声)19:30になると3人がステージに登場しセッティング。この際、ギターレスでセッティングのない土岐さんが、林さんのギターをずっと持たされてるのすごいかわいかったし、「ありがとうございます!」と言われて「あ、いえ!」とかやりとりしてんのも超かわいかった。しかもみんながセッティングしてるからMCをすることになった土岐さんが、いきなり「何か質問があるひと〜?」と進行を客席に投げ会場の空気を氷点下まで下げるも、田口さんから「好きな食べ物は〜?」と返され、すかさず「あー、僕、から揚げが好きなんですけど、顔に吹き出物がすごくなったから、から揚げ断ちしたんですよ。そしたら部屋の掃除するようになったし、嫌いだったグリーンピースが食べられるようになったし、いろいろ変化がありました!皆さんも好きなものを断つといいことがあるかもしれません!」みたいな話まで持ってったの超スペクタクルだった。


「本当はオリジナルを歌いたかったけど…」と言いながら「漣健児の訳詞で〜!」「ハーヴェイ・フィリップ・スペクターの曲で〜!」と煽って、「BE MY BABY」のカバーを絶唱。マイクが1本なのでリードボーカルを歌う人とコーラスを歌う人で交互にならざるを得ないんだけど、なんかめちゃくちゃになってて、ギターはトチるしひどい演奏と歌だったけど生涯3本の指に入るぐらいおもしろくてインパクトがある「BE MY BABY」でした。そしてじゃんけんし、順番を決める。1番手は土岐さん。


土岐さんが鉄琴とピアノ、押田さんがパーカッションを始めさまざまな楽器、斎藤さんがピアノとアコーディオンという編成で1曲目は「エスプレッソ」。わたしはいなかやろうの曲ほとんど知らなくって、HAPPLEが好きで今回見に行ったんだけども、本当に曲が素晴らしいですね。まずアレンジがかっこいいというかニクいというか、この3人が音を鳴らした途端に胸がときめいてしまう。あとでYouTubeで確認したんですが、当然ですがいなかやろうのときとはアレンジが全然違って、もっとシンプルでかわいらしい曲になってて、だけどシンプルな編成だからこそHAPPLE(HAPPLEの曲じゃないけど)の芯が見えるような演奏になってたと思います。コーラスが美しい、ニコニコ楽しそう、楽器の織りなし方がウキウキしててかっこいい。そして土岐さんの泣き出す一歩手前みたいな声と、ぐっさり心に突き刺さる言葉。もうしょっぱなから内臓がぐわんぐわん掻き回されました。
印象に残ったのは「踏切」という曲。土岐さんがピアノで斎藤さんがアコーディオンを演奏していたこの曲は、“誰しも映画の主人公であり誰しも脇役だ”って曲なんだけど、「映画」というモチーフの曲で「踏切」というタイトルを付けるのがもうニクい!わたし、踏切の音が鳴ると「あー、なんか映画のなかみたいだ」って思ってしまうので、完全にツボです。そして歌い終わったあとに土岐さんが放ったこの言葉。

「誰しも自分が主役だと思って生きてると思うんですけど、でも同時に他の人からみれば僕は脇役で、僕、“いま脇役としてがんばってるなあ〜”ってとき、たくさんありますよ」


これぞ土岐アティテュード!客席はなんだかウケていたけど、わたしは笑う気にはなれず、そんなふうに決して主人公になれない自分を悟って、エンターテイナーとしてピエロになろうとする土岐さんのうら寂しさの根源をみたような、そんな気になりました。そして前述の通り、このステージではギターを持たず、鉄琴かピアノかまたはハンドマイクで歌っていた土岐さん。この企画が完成する来年2月には、楽器を持たずにエンターテイナーとしても成熟したものをみせる!というような宣言をされていました。脇役という自意識や、照れやロジックを超えて、土岐さんがみせてくれるエンターテインメント、どんなふうになるのかとても楽しみです。


そして2番手の林漁太さんはサージェントペパーズの頃のポールのコスプレで登場(笑)。こちらもチャーミングなポップさが光る。たったひとりでステージをエンターテインメントに仕立て上げようとするも、なんだかズッコケ感がまとわりつくのが憎めません。「♪パパパ〜パパパ〜」てコーラスから「ママー!」と叫ぶ、みたいな、日本語と英語を駆使したダジャレ歌詞に会場が大ウケ。「コミックバンドにならないでねって言われるけど、僕はコミックバンドだっていいと思う!」というようなMCで、自らの立ち位置を潔く肯定するさまがカッコ良かったです。


最後はたけヒーローさん&ごとうはるかさんのデュオ。こちらは全然存じませんでしたが、おふたりでデヴィッド・ボウイのカバーの佐藤幸雄さんの「五年」のカバーもされているようです。曲はフォーク経由のサイケデリックポップといった印象。これまでの「陽」な会場から一気に「陰」というか、この世ではないどこかに連れて行かれました。たけヒーローさん、雰囲気のある方だなぁ。笑顔と佇まいがかわいらしかった。あとごとうさんとの掛け合いがすごくハマってました。




「ポップトライアングル」は隔月開催の全6回、最後の開催となるのは2月!冒頭に田口さんが好きなポップ作品を紹介&みんなで聴くコーナーもありますし、ご興味がありましたらぜひぜひ〜