cero「MY LOST CITY」ツアーファイナル@クアトロのこと!

クライアントが無茶言うのでもう無理ゲーと思って金曜日の終電で家についてしばし体育座りでぶるぶる震えていました。月曜日なんて一生こなければいいのにという気持ちを引きずって後ろ暗いウイークエンドを過ごしたのですが、ceroの「MY LOST CITY」ツアーファイナル見たら、そんな気持ち吹っ飛んじゃったよね。とにかく圧倒的なものにぶっ飛ばされた感じ。こんな凄いものが生きてて観れるのであれば、もっとずっと胸を張ってしっかり生きてゆきたいと思った。ceroに恥じない自分でありたい、と。何を言っているのでしょうか。でも本当にそう思ってしまったのだ。


クアトロに着いたらすでに2曲目がスタートしてて超満員。超満員のクアトロのホスピタリティの壊滅具合はみなさん知るところだと思いますが(柱を切り落とせ!)、とにかく身動きできない暑い何も見えないそんな状態でも、ceroの音楽は、鳴る一瞬の生命を大いにまっとうするために鳴っていた。その熱情が五臓六腑に響いてきた。表題曲「MY LOST CITY」以降の流れは本当に圧巻としか言えない。毛穴から出まくってた汗がぜんぶ引っ込んで鳥肌立って寒いぐらい震えましたです。続く「Contemporary Tokyo Cruise」は、今作でいちばん好きな曲だしこのライブでもベストアクトだったと思う。「行かないで光よ 私たちはここにいます/巻き戻しして」というリフレインを経ての♪Wilder than southern Island,city lights,city nights〜の逆再生。ここでいう「光」は「生活」で、わたしたちは逆再生(巻き戻し)のなかでファンタジーの終わりを悟る。つまり、「行かないで光よ」と呼びかけ、生活へ戻る覚悟を決めた終わりの合図が、♪Wilder than southern Island,city lights,city nights〜の逆再生なんだと。私くしのむちゃくちゃ飛躍した妄想です。いまひとつ他人に言うのが恥ずかしい妄想っぷりなので誰にも言ったことがなかったけど、初めて書いてみたのは、そのあとのMCで高城さんが「年明け早々にいろんな土地でいろんなひとと触れ合う機会が持てて本当によかった」と言ったあと「ここから皆さんと一緒に作っていきたい」みたいなことを言ったんですよね。「一緒に作っていきたい」みたいなことを。この言葉に、「Contemporary Tokyo Cruise」という歌の大事なものが詰まっているような気がして、ちょっと泣いた。つまり、現実に戻った世界でどう生きるか。漱石は船を飛び降りて、「自分はどこへ行くんだか判らない船でも、やっぱり乗っている方がよかったと始めて悟りながら、しかもその悟りを利用する事ができずに、無限の後悔と恐怖とを抱いて黒い波の方へ静かに落ちて行った」と絶望を表現したけれど、私たちは、少なくとも私は、船に乗りまだ続けていくのだ。生活を。この曲を、あの瞬間を、超満員のクアトロのあの光のなかで体験できた、それだけでも本当にこのライブに行ってよかったと思う。


はねている はねている リズムだけが
こえていく こえていく この街すら


楽しみにしてる きみのうたを ものみなこぞりて


「さん!」

「Contemporary Tokyo Cruise」のあとに「さん!」が演奏されるというのが、これも単なるわたしの妄想にすぎない希望です。3/11を経て、わたしはどうやって生きていくのか。の、前にお恥ずかしながら仕事に忙殺されて毎日胃が痛いし逃げたいし本気で怖いけど(クライアント無茶すぎて納品できねえ!)、でもそんな毎日に音楽が鳴り続けるささやかな幸福、を、愛して生きてゆきたいです。生活を豊かにするというのはそんなつらなりなのかもしれないなとか思ってみたり。


あとあと個人的にはクールながら静かに熱を帯びる橋本さんのギターがたまらなく好きなのと、体調不良で体ボロボロなのに体中から咆哮するように歌うMC.sirafuさんの姿に感動しました。はやくまたceroのライブ体験したい〜