愛して!恋して!ポイ捨て!

スッパマイクロパンチョップことスッパさんみてると、いっかいいっかいの世界がぜんぶはじめてで構成されているのだなとおもう。むかしわたしが音楽雑誌をつくってたとき、スッパさんにはあるページの扉絵と扉詩をお願いしていた。そのときからずーっとずーっと、わたしのなかでスッパさんは赤ちゃんの感受性をもつひと。新鮮な好奇心と欲望をもつこども。もちろん世界がぜんぶはじめてでゼロのスタートはみんなおんなじですが。でもスッパさんはいつまでも慣れない感じでいつまでも違和感にまみれてる感じがする。誰かがつくったものも好きだけど自分のやりかたでもっとおもしろいものが生み出せるんじゃないかしら。ルールもスタイルも自分で作ればもっとたのしいんじゃなかろうか。みたいなスッパさんのアティテュードにいつもドッキリさせられます。そんなわけで麓健一くんの歌のうしろで叩くドラムすごかったな〜。


麓くんの歌は麓くんの歌だけで完璧だと思っているので、他の世界はいらないんだけど、あの日のバンド編成はそれを壊そうとしてるように見えました。いや、「壊す」は御幣があるかな。とにかく麓くんの歌に迎合しようとしてない。彼の武器を対等に相殺するパワーでもって麓くんは新しい歌を手にいれるのだろうか、とか思ってみていた。


これ、きょう誰とも口を聞きたくなくて会社のやすみ時間にずっとみてた。救われた。

ほそまりさんのピアノは半歩うしろをゆくスタンスで麓くんの歌に寄り添ってそっと輝かせる。あと「花火」とか女性コーラスパートがあるのに彼女が歌わないところも劇的に好きです。彼女がほんとに麓くんの歌を愛しているからなんだろうと勝手におもっている。


スカートは最後のほうの曲(ウーリッツァーかな?)のベースソロが凄かったな〜。ベースソロっていうかソロじゃないけどソロ並みの音量ですげえ熱いベース。滾っていた。笑った。スカートをはじめて聴いたときにあんな良メロでお洒落で偏執的にポップで、ああいうことを、昆虫のうしろでパーカッションを叩いてる自己主張過剰なデブの子がカッコつけてやってるのがサイコーだなあ、と興奮したので、もっともっと過剰に脂ぎったライブが見れたら澤部くんさいこーかっこいいなあとおもう。ライブ続けていくようなので、緊張のタガが外れるのがたのしみです。


あときのうのパラダイスはもう桁違いに凄かった。わたしは昔から「音楽は人間性」だと思ってたけど、例えばひやむたくんが、絶対そんなことないけど、ものすげー悪いヤツだったとしてもヤなヤツだったとしても大っ嫌いなヤツだったとしても、パラダイスの音楽が大好きだと思う。彼らがステージで鳴らしてる音を、その一瞬のあいだは信じると思う。それって人間性ってよりも、そのひとが音楽と向き合う覚悟の問題なのかなあ、とちょっと思った。そのひとが音楽を鳴らすときの純度とか強度とかが重要なのかもしれない。てゆうのはきのうのこうたさんを見ていて思ったこと。まじで一瞬でもひるんだらブン殴られるんじゃないかな女こども容赦なく、という殺気に満ちていた。でも殴られるぐらいで音が続くなら殴られてもいいよこうたさんに。まあ殴らないだろうけど。あとはじめさんは簡単にステージの垣根を越えるんだけど、こうたさんは絶対にステージを降りない。ステージの上ぜんぶでギリギリの淵で舞い、歌う。「川の花嫁」でなかなかドラムセットに戻ってこないはじめさんに、こうたさんがうしろからケリ入れてた。このバランスが絶対的にパラダイスなんだなあと思った。


ステージ上で起こることが嘘でもファンタジーでもその瞬間だけ世界が信じれればどっちでもかまわないなあ。わたしは演奏側になったことないしこれからもならないだろうし、それはしあわせなことだと思ってます。